今回は、日本とタイのワクチンプログラムについて、お話ししたいと思います。
日本でもタイでも「世界標準」といえるワクチンプログラムが基本にあります。その「世界標準」として実質的に参照されているのが、WSAVA(世界小動物獣医師会)ワクチンガイドラインです。
① 世界標準とは何か?
WSAVA ワクチンガイドライン
主なポイントは以下の通りです。
1. 幼少期の「3回接種」は共通
子犬や子猫は、母親からもらった免疫(母子免疫)が切れるタイミングに合わせて、複数回の接種が必要です。これは日本でもタイでも世界共通のルールです。
- 1回目: 生後6〜8週
- 2回目: 10〜12週
- 3回目: 14〜16週
2. 「コア」と「ノンコア」の考え方
- Core(コア)ワクチン⇒ 「生活環境に関わらず、すべての犬・猫が接種すべき」とされるワクチンです。感染力が非常に強く、発症すると重症化しやすく、死亡率が高い疾病に対するワクチンが特徴です。
- Non-core(ノンコア)ワクチン⇒ そのペットのライフスタイルや、住んでいる地域の感染リスクに応じて接種を検討するもの」です。特定の地域や環境(水辺、山、多頭飼いなど)でリスクが高まるものや感染してもコアワクチンの対象疾患ほど致死率は高くないものです。
② 日本の位置づけ
日本の多くの小動物病院は、実質的にWSAVA準拠です。
犬(日本)
- Core
- CDV(ジステンパー)
- CPV-2(パルボ)
- CAV-1と2(伝染性肝炎、伝染性喉頭気管炎)
- Non-core
- レプトスピラ
- パラインフルエンザ
- ボルデテラ など
猫(日本)
- Core
- FPV(猫汎白血球減少症ウイルス)
- FHV-1(猫ウイルス性鼻気管炎)
- FCV(猫カリシウイルス)
- Non-core
- FeLV(猫白血病ウイルス)
- Chlamydia (猫クラミジア)など
● 日本独自の例外
- 狂犬病ワクチン(犬)
- これはWSAVAとは別次元で、日本の法律(狂犬病予防法)により義務化されています。
③ タイの位置づけ
タイも基本的にはWSAVA準拠です。
犬(タイ)
- Core
- CDV
- CPV
- CAV
- + 狂犬病(地域事情により事実上Core扱い)
- Non-core
- レプトスピラ(日本より重要度が高い)
- ボルデテラ など
猫(タイ)
- Core
- FPV
- FHV-1
- FCV
- + 狂犬病(人獣共通感染症として重要)
タイでも狂犬病ワクチンは、法律で義務化されていますが、タイは「狂犬病発生国」です。毎年、犬や猫だけでなく人にも死者が出ているため、法律は「今起きている死者をゼロにする」という重要な目的を持っています。
タイの動物病院でよく使われるワクチンには下記の写真のようなものがあります。


まとめ
タイでのワクチン接種の現状を一言で表すと、「管理社会への移行期」です。以前ですと、 法律はあるが、野放しに近い状態でした。しかしながら、現在は、マイクロチップ義務化(バンコク都の新条例でペットへのマイクロチップ装着が義務化された。※ただし施行は2027年から)や地域限定の移動制限など、行政が積極的に管理し始めています。
